「単なる募集」を超え、営業企画人材の自己実現を叶える採用戦略を紹介。チラシから動画、SNSまで連動させ、「未来の幹部」に響くコンテンツ制作と育成システム可視化のノウハウを提供します。
SECI(セキ)モデルは、日本の経営学者である野中郁次郎氏と竹内弘高氏が提唱した、組織における知識創造のプロセスをモデル化したものです。このモデルは、個人が持つ暗黙的な知識(暗黙知)と、文書やデータとして客観的に表現できる知識(形式知)が相互に作用し、組織全体の知識へと変換されていく過程を4つの段階で説明します。
知識変換の4つのプロセス
SECIモデルは、以下の4つのプロセスを通じて、知識がスパイラル的に拡大していくことを示しています。
まとめ
SECIモデルは、以下4つのプロセスを繰り返すことで、個人の知識が組織全体の知恵となり、さらに新たな知識創造へとつながるスパイラル的なサイクルを形成します。ナレッジマネジメントにおいて、このモデルの各段階を意識的に促進することが、組織の競争力向上に不可欠であるとされています。
1. 共同化(Socialization):暗黙知から暗黙知へ
概要: 経験や感覚といった個人の暗黙知を、他者と共有するプロセスです。言語化が難しい知識を、対話や共同作業を通じて、他者の暗黙知として伝達します。
例:
熟練した職人が、見習い職人にOJT(実地訓練)で手本を見せる。
営業担当者が、上司との同行訪問を通じて、顧客との関係構築の「コツ」を感覚的に学ぶ。
チームメンバーがブレインストーミングや雑談を通じて、互いのアイデアやひらめきを共有する。
2. 表出化(Externalization):暗黙知から形式知へ
概要: 個人が持つ暗黙知を、言語や図、マニュアルなど、客観的に表現できる形式知へと変換するプロセスです。これが知識創造の中心的な段階となります。
例:
優秀な営業担当者が、自身の経験に基づく「営業の成功法則」を言語化し、マニュアルを作成する。
開発者が、試行錯誤の末に発見した技術的なノウハウを、技術文書としてまとめる。
メンターが、メンティーとの対話を通じて、自身の「リーダーシップの心得」を言葉に落とし込む。
3. 連結化(Combination):形式知から形式知へ
概要: 複数の形式知を組み合わせ、新たな知識体系を創造するプロセスです。すでに存在する文書やデータを、再構築したり統合したりすることで、より高度な形式知を生み出します。
例:
社内の各部署が作成した業務マニュアルやデータ報告書を集約し、全社的なナレッジデータベースを構築する。
複数の部門から得た顧客フィードバックを分析し、新たなマーケティング戦略のレポートを作成する。
書籍や論文など、外部の形式知を収集・整理し、新たなビジネスプランを策定する。
4. 内面化(Internalization):形式知から暗黙知へ
概要: 組織の形式知を、個人が自らの経験や感覚として取り込み、暗黙知へと変換するプロセスです。形式知を「自分ごと」として理解し活用することで、個人のスキルとして定着します。
例:
新入社員が、会社の業務マニュアルを読み込み、日々の業務を通じて実践することで、業務の「勘所」を身につける。
社内で共有された成功事例集を読み、それを模倣して試すことで、自身の営業スキルを向上させる。
社内研修で学んだ理論を、実際のプロジェクトで適用し、体得する。
メンター制度など、普段の業務を俗人化させず他者に伝承していくことの重要性はわかっていても、個々のメンターをそれぞれに任せて体系化して見える化するとなると、仕組みが必要です。まず、メンター制度のように個々が持つナレッジを言語化したり図解化したりするような作業は、企業活動の中(個人と組織活動の両方)でどのような取り組みがあるのでしょうか。体系的にピックアップします。
ナレッジの形式知化を目的とした企業活動には、多岐にわたる種類があります。これらの活動は、個人が持つ暗黙知を組織全体で共有・活用できる形式知へと変換し、属人化を防ぎ、組織の生産性向上に貢献します。
企業活動におけるナレッジの形式知化とは
業務・プロセス関連
マニュアル作成: 業務の手順やノウハウを文書化し、標準化します。新入社員のオンボーディングや、担当者の異動時にもスムーズな引継ぎが可能になります。
業務プロセスの可視化: 業務フローチャートやシステム構成図を作成し、プロセスの全体像を明確にします。これにより、ボトルネックの発見や改善点の検討が容易になります。
議事録・報告書: 会議での決定事項やプロジェクトの進捗、課題などを記録し、関係者間で共有します。
ケーススタディの蓄積: 成功事例や失敗事例を分析し、教訓として形式知化します。これにより、同じ過ちを繰り返すことを防ぎ、新たな課題解決に役立てられます。
スキル・ノウハウ関連
メンター制度: メンターが持つ経験やスキルを、メンティーとの対話を通じて伝承します。対話の中で暗黙知が言語化され、形式知へと近づきます。
スキルマップ: 従業員が持つスキルや知識を一覧化し、可視化します。特定のスキルを持つ人材の特定や、組織全体のスキルギャップを把握するのに役立ちます。
ベストプラクティス集: 特定の業務や役割において、最も効果的とされている手法やノウハウをまとめて共有します。
社内研修資料: 従業員のスキルアップを目的として、専門的な知識や技術を体系的に整理し、教材として作成します。
情報共有・コミュニケーション関連
ナレッジベース・FAQサイト: 頻繁に発生する質問や、業務上のノウハウをデータベース化し、従業員がいつでもアクセスできるようにします。
コミュニティ・オブ・プラクティス(CoP): 特定の分野に関心を持つ従業員が集まり、専門的な知識や経験を共有する活動です。
ブログや社内Wiki: 個々の従業員が持つ知見や、日々の業務で得た学びを自由に投稿・共有します。これにより、非公式なナレッジが形式知として蓄積されていきます。